那須に別荘を新築してみた
那須別荘新築(もくじ)
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15. 三つのフリー

三つのフリー
現代の家づくりでは三つのフリーが重要な要素だと言われています。いわゆる“シックハウス症候群”を引き起こすような有害物質を使わない「ケミカルフリー」車椅子や高齢者でも暮らせるような配慮をする「バリアフリー」修理や手入れが楽なようにしておく「メンテナンスフリー」の三つです。

まず「ケミカルフリー」についてですが、カオリが建築をお願いしている一級建築士の円谷さんは“シックハウス症候群”についても造詣が深く、また、実際にそのような症状を持ったお客様の家を建築した経験もお持ちです。壁はすべて漆喰で仕上げ、素材も自然素材を中心に使用します。有害物質であるホルムアルデヒドを含む合成樹脂や接着剤、合板、壁紙、カーペット等は使用しません。ところがそんな円谷さんのお仕事でも、特にひどい症状を持ったお客様でアレルギー反応を示した方がお一人だけいたそうです。費用をかけてすべて家中を調査しても原因が分からず途方に暮れたとき、思い当たったのが新築時に床下に散布するシロアリ駆除の薬剤で、実はそれがアレルギー反応の原因だったそうです。現在では建築基準法の改正でシロアリ駆除の薬剤は必ずしも撒かなくて良くなったとのことでカオリもほっとしました。

次に「バリアフリー」についてですが、カオリが設計時にこだわったのは“車椅子でも使用できる別荘”です。段差はもちろんありませんし、通路の幅も充分に余裕を見て広めにとりました。トイレも開き戸にして横から侵入した車椅子から無理なく便器に乗り移れるように配置を工夫しましたし、トイレの照明はセンサーで自動点灯します。駐車場から玄関はスロープを設けました。スロープは砂利道ではなくすべてコンクリにするつもりです。浴室のドアは3枚扉にして大きく開けられるようになっています。手摺はすべて必要な箇所に必要な分だけ設置します。バリアフリー設計は健常者にとっても余裕があって快適な空間です。ましてこれから高齢化社会に向けて、当然のことのように念頭に置いた設計が求められる時代になったのではないでしょうか。

最後に「メンテナンスフリー」ですが、カオリは一級建築士の円谷さんに「100年もつ家を建築して下さい」とお願いしました。最近の大手ハウスメーカーが建てる建物は15年くらいで大幅なリフォームが必要となってしまうケースも珍しくないと聞きます。不景気で材料費を削ったり、見えないところで手を抜いたりした結果がそうなのです。ローンがまだ残っているうちにリフォーム資金も捻出しなければならないとしたら、これはもう泣きたくなるというものです。しかも、カビ臭く、底冷えのする家ではリフォームしなければ病気になってしまいそうなので、泣く泣くリフォームせざるを得ないというのが実状のようです。そのような目に遭わない為にはしっかりとした家を建ててくれる信頼できる建築士を探すことです。家を建てることは一種の「投資」です。初期費用と今後かかると予測されるランニングコストをきちんと計算に入れて、家が建ったあともなるべく追加でお金がかからないような“メンテナンスフリー設計思考”をしておくということも大切です。

ところで、前述「ケミカルフリー」の中で出た“シロアリ駆除の薬剤を撒かないでおく”というお話ですが、「それではシロアリが心配じゃない?」という疑問を持つ方がいらっしゃるかも知れませんので補足しておきます。そもそも、シロアリ自体はそれほど強いアリではなく、水に浸けただけでも簡単に死んでしまうくらいだそうです。そんな弱いシロアリなのに床下で大量発生するのはそこがジメジメしているからです。昔は、床下の四方に空気穴を開けて空気を入れ、換気するのが普通でした。このやり方ですと穴の開いている付近は確かに換気が良いのですが、土台の四隅までは空気が行き渡らずにジメジメして、シロアリの温床となっていました。そこで登場したのが“基礎パッキン方法”というもので、基礎と土台の間に専用のパッキン材を挟み込むことにより、湿気のこもりやすい床下の換気を滞りなく行う工法です。通常の床下換気口の1.5〜2倍の換気能力をもっていますが、それでもまだ湿気が残るため、シロアリが発生する可能性があると言われています。そこで我らが一級建築士の円谷さんが推奨するのが“ベタ基礎+土台気密パッキン”です。これは土台も室内の一部と考え、気密パッキンで高気密設計にしてしまおうという方法です。これだと湿気がこもるということがなく、従ってシロアリが発生するということもありません。シロアリが発生しないからシロアリ駆除の薬剤を撒く必要がなく、“シックハウス症候群”にもならずに済むという訳です。いや〜、めでたしめでたしですね。

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