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那須別荘新築した体験談
那須別荘新築(もくじ)
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23. 暖房について

暖房について
那須の別荘は冷房はそれほど必要ありませんが、暖房は強力なものが必要となります。別荘の雰囲気からすれば薪スト−ブでも欲しくなるところですが、気軽に使える実用性という面からは敬遠されることが多いようです。そこで実際には石油ファンヒーターを使うという選択が一般的です。石油ファンヒーターは火力の強いものなら1台で別荘全体を暖房できるのですが、それでも部屋の温度が15〜20度ぐらいまで上がるのにかなりの時間を要します。そのため各部屋やキッチンに石油ファンヒ−タ−やセラミックヒ−タ−を1台ずつ置いて、部屋が暖まるまでの補助暖房とすることが多いようです。またリビングのフロ−リングには厚手のカ−ペットを敷き、その下に電気カーペットを入れます。これがすぐに体が暖まり、かなり役立つ暖房機器となります。石油ファンヒーターの代わりにガスファンヒーターを使う場合には、給油の必要がなく石油よりも燃費がいいのでお薦めです・・・。

・・・と、まあ従来の別荘では冬になるとそういった情景が繰り返されてきました。別荘によっては業務用ファンヒーター(15畳用など)を置いて冬でもかなりぽかぽかにすることが出来ますが、実は業務用ファンヒーターは燃費が悪く石油を多く消費するため、毎日石油ポリタンク一つ分も給油するくらいの覚悟が必要となり、手間もお金もかかります。それだけの石油を燃やせば当然空気も汚れますので一定時間ごとの換気も欠かせません。

暖房というとリビングを温かくすることばかりに気をとられがちですが、実は生活してみると案外気になるのはトイレやバスルームの寒さです。個室となるそれらの場所がとても寒いと暗い嫌な気分になりますし、高齢者は急激な温度変化により脳溢血や心筋梗塞になって倒れることもあります。対策としては小さなセラミックヒーターなどを買って1台ずつそれらの各部屋に配置するという方法が考えられますが、それだと別荘の中に4台も5台も暖房器具があって、それぞれが個別に運転をするのでランニングコストもかかり、経済的ではありません。

薪スト−ブはイメージ的には一度は使ってみたいレトロな魅力のある逸品ですが、実際に使用するとなると不便なことも多いようです。まず、薪ストーブは実際に暖まるまでに時間がかかります。特に別荘のように家が冷め切っていればなおさらです。別荘で薪ストーブを使う場合には、補助暖房を用意するか暖まるまでひたすら凍えながら待つということになります。そして何より、薪の入手方法は薪ストーブユーザーにとっては頭の痛い問題です。自分の林を持っていたり、山を持っている親戚がいたりする方を除いて、森林組合や営林署に間伐材がないか聞いてみる、薪を作っている燃料店があるかどうかあたってみる、別荘の管理会社に建設の時に伐採した木を分けてもらう、リンゴ・梨・椎茸栽培をしている方と仲良くなる、ストーブ専門店で聞いてみる、など様々な苦労をして薪を入手する必要があります。手に入れた薪は、風通しと日当たりの良いところへ波板やトタン板、ビニールシートなどをかけて雨よけをして積んでおき、薪にひび割れができて軽くなったら乾いた証拠ですので、そこで初めて薪として使用することができるようになります。

薪ストーブの前に座って、オレンジ色の光と、時折り薪が爆ぜる音を楽しみながら、シャトゥーものの赤ワインを飲む・・・。なんだかロマンを感じてしまうのですが、怠惰なカオリにはそこまでの準備が大変です。薪ストーブ派の方々はそのような手間をかけ、究極の暖房を手に入れているすごい人たちな訳でございます。頭の中で妄想がいろいろと膨らみニヤニヤしてしまいますが、カオリには薪ストーブは宝の持ち腐れになってしまうことでしょう。本当に薪ストーブはとても良いと思います(石油ファンヒーターやガスファンヒータなどよりずっと良い)。なので将来は薪ストーブが欲しいと思っています(手入れする人コミで)。

それでは、カオリに合ったラクチンでメンテナンスフリーで、すぐに暖まれる暖房は何を選ぶのが良いのでしょうか?一級建築士の円谷さんは高気密・高断熱住宅にもっとも適した暖房として、パネルヒーターによる「セントラルヒーティング」を提案してくれました。パネルヒータは温水を利用したふく射熱暖房ですので、自然対流によるほんのりとした暖かさを生み出し、温風がホコリをまきあげることがありません。室内での燃焼を伴いませんので一酸化炭素中毒になることもありません。トイレやバスルームにも設置しますので個室の中も非常に快適です。特にバスルームはタオルドライヤーを兼用したタイプを採用すれば、濡れたタオルもすぐに乾きます。実際に同じ暖房を導入している方にお話を伺ったところ、「冬でも室内はTシャツ1枚で過ごせるくらい」暖かいということでした。しかも石油ファンヒーターと比較して約60%の灯油消費量で済むというランニングコストの低さも魅力です。

「何故、こんなに素敵な暖房なのに使用しているお家が少ないのかしら?」能天気なカオリでも持つ素朴な疑問ですが、それには単純明快な理由があります。そうです。実は導入費用が高いのです。カオリの建築している別荘の規模でもパネル暖房工事だけで85万円もかかります。「そんなに費用がかかるのなら普通の石油ファンヒーターでいいや」と考えてしまうのも無理はありません。恐らく他の暖房に較べてダントツにイニシャルコスト(初期導入費用)が高いのがセントラルヒーティングです。ですが、物事は短期的視野で短絡的に考えてはいけません。実はイニシャルコストとランニングコストを含む20年間のトータルコストを比較すると、もっとも経済的なのがセントラルヒーティングだという調査もあります。カオリの建築している別荘は“100年もつ”ことを目指している訳ですから、長期的視野に立てば暖房はセントラルヒーティング以外には考えられないのです。

那須の冬の寒さは厳しいです。本当に洒落になりません。そのもっとも厳しい冬の季節をいかに快適に過ごせるようにするか。それを基準にしてすべてのことを発想することによって那須での別荘建築が成功するか失敗するかが決まる、と言っても過言ではないのです。

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